説明
この作品に関しては桜をイメージした作品を作りたかったというだけで、特に難しいコンセプトは無いのですが、作品自体は、2018年のポルトガルでの展示をきっかけに誕生した「Boundaries (境界線)」シリーズが元になっています。 元の作品は渦巻く波をイメージした青い作品ですが、今回はそれを渦巻く桜吹雪のイメージに変えて制作しています。
https://hidemishimura.com/portfolio/boundaries-swirl-wave-_3/
この作品のきっかけとなった展示はUrban Diaoguesという10年前から私が参加している世界各地に住むアーティストたちのコラボレーションプロジェクトで、展示のタイトルが「Encontro de Rios -河の集合-」でした。
このタイトルを聞いて、何故か最初に頭に浮かんだのが「水には境界が無い」という言葉でした。そもそも私たちが住む陸地も海も本当は境界線など無いのに、国境・町の境目・隣の家との境目等多くの境界線が設定されています。つまり、無限のものに境界を決めるのが人間であり、人間の歴史とは境界を定めるためのせめぎあいの繰り返しのように思われます。
人の人生もしばしば川の流れに例えられ、それぞれの人生をたどると一筋の線となる。長い線・短い線・まっすぐな線・くねくねした線、一本一本全く違う線が複雑に重なり合って私たちを取り巻く一つの世界を作ってきました。